競技会について

競技会とは、日常プログラムの発表の場です。

競技会は、日常プログラムとは全く違う環境で、アスリートが不安や緊張と戦いながら自分のできるようになったことのすべてを発揮するチャレンジの場です。また、アスリートだけでなく、コーチ、ファミリー、ボランティアをはじめ、活動に関わる全ての人にとってもチャレンジの場であるとともに、アスリートや自分自身の変化に気づく大切な場です。

スペシャルオリンピックス日本(SON)・青森では、日常プログラムの成果を発表する場として、1年に1度、競技会を開催しています。また、4年に1度、夏季・冬季それぞれのナショナルゲーム(全国大会)へ選手団を派遣してします。また、全国大会の翌年に開催される、ワールドゲーム(世界大会)へも選手を派遣しています。

スペシャルオリンピックスでは、知的障害のある人たちの成長や自立のために、競技会が大きなプラスになると信じています。そして、アスリートが性別、年齢、スポーツのレベルを問わず、成長し、楽しむ、経験をすることが重要と考え、次の3つの事項を大切にしています。

1.最低限必要な手助けを得ながらも挑戦すること

アスリートが最低限必要な手助けを得ながらも、自分の能力で最初から最後まで競技ができるようになることを大切にしています。そのために、日常プログラムの中で、スポーツの技術だけではなく、準備や後片付けなどに必要なことをボランティアのコーチの指導をもとに、少しずつ身に着けていきます。例えば水泳の場合、まずは、着替えです。次はシャワーを浴びること、そしてプールに入れるようになること、水の中を歩けるようになること、ビート板を使って泳ぐことなど、順を追ってできるようになります。競技会では、日常プログラムで習得したことを発揮する必要があります。競技会は、実際に日常プログラムとは異なる会場で行われることも多く、会場まで初めての道を通って移動することから、開会式や閉会式のような厳粛な雰囲気を感じ、見たことのない多くのボランティアスタッフの指示を聞いて行動することなどの普段とは全く違う環境においても、アスリートが不安や緊張と戦いながら、自分のできることのすべてを発揮することを大切にしています。

2.能力を充分に発揮できる競技を実施すること

アスリートが能力を充分に発揮できる競技を実施することを大切にしています。そのために、意図的に選手の組み合わせを変えることで、可能な限り同程度の競技能力のアスリートが同時に競技できるようにしています。同程度の競技能力のアスリートが同時に競技することで、不安や緊張がアスリートの勇気を高め、日常プログラムの記録よりもよい成績(例えば、自己ベスト記録更新)、競技終了後の達成感、競技会後の日常プログラムへの取り組み意欲の向上などに結びつくことがあります。また、ファミリー・ボランティア・コーチ・審判にとってもアスリートが繰り広げる接戦は、興奮して応援する競技になります。この意図的なグループ分けは、予選時の競技成績を参考に性別、年齢、競技能力などによって行われます。スペシャルオリンピックスのすべての競技会に共通する特徴の一つです。このグループ分けは、英語で区分けを意味するディビジョニングと呼んでいます。このディビジョニングによって、アスリートが自分の能力を十分に発揮し、一番輝く機会を得られます。

3.全てのアスリートの挑戦を称え全員を表彰すること

アスリートが不安や緊張と戦いながら、自分のできることのすべてを発揮した結果を表彰することを大切にしています。そのために、表彰台の上では、全てのアスリートに、メダルやリボンがかけられます。それは、競技場に立ち最後まで競技をやり終えた事に対して、勇気と過程の大切さを確認するためです。表彰の間、一人一人にかわらぬ拍手が絶え間なく贈られます。スペシャルオリンピックスにおけるメダルは、1位に相当する金、2位に相当する銀、3位に相当する銅のほか、4位以降にメダルの代わりに送られるリボンがあります。オリンピックなどの競技では、金メダルは競技種目における絶対的な競技能力の優位を称えるものですが、スペシャルオリンピックスでは、ディビジョニング(意図的なグループ分け)があるため、アスリートの競技能力が高い(例えば、100メートル水泳競技において平均1分00秒)場合、競技能力が高いグループA(例えば、50秒~1分)に入るか、次に競技能力のやや高いグループB(例えば、1分~1分20秒)のに入るかによって、メダルの種類が変わってしまいます。仮に競技者が4名のグループAでは、リボン(4位)になり、競技者4名のグループBでは、金メダル(1位)になる可能性が高くなります。そのため、メダルを獲得するかリボンを獲得するかは、アスリートの努力ではどうにもならないディビジョニングの影響が大きく、メダルかリボンのいずれかを獲得した場合もアスリートの努力と挑戦を称えることが、合理的と考えています。


(SONより引用、加筆修正)
 

(参考)2014年全国大会(ナショナルゲーム)福岡大会

ワールドゲーム、ナショナルゲームを含むすべての競技会に参加するためには、ブランチで実施される日常プログラムに8回以上参加する必要があります。